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2006年04月07日

墨玉ヨーヨー。

「ミカちゃんが到着したら、いよいよメインイベントだ!」と電話があって、なんのことかわからないまま私は、学さんと鉄秀の待つ、北浜のギャラリーまでいそいで自転車を走らせた。いま、彼らは629に展示する大型作品を制作している。今日はその、4日目。現場には、畳6畳分ぐらいの和紙がきれいに水張りされている。いよいよ、そのメインイベントたるものが行われる様子だ。

「いったい、なに?」

学さんが夜店でよくみるヨーヨー吊のヨーヨーを取り出して、「いくよ!」という。鉄秀が「よっしゃ〜」と手を鳴らす。ヨーヨーのなかにはどうやら、薄墨が入っているらしい。さて、ついに、学さんがヨーヨーを目の前のキャンバスに投げつける。バシャーン!!ヨーヨーは勢いよく和紙の上をはじけ飛ぶ・・・・・はずだったみたいなのだが。  ボテ・・・。とてもドンくさい具合に和紙のうえに、墨の水溜りが生まれた。あたりはシーン・・・?

鉄秀が「・・・あっりゃああ?」
学さんが「・・・おりょ?」

もっぺんやってみよか。そやな。バシャーン、ボテ。
もっぺんやってみよか。こんどこそな。バシャーン、ボテテテ・・・。

昨日の実験では大成功したという墨玉投げ、という新手法が、1日たって、ヨーヨーの圧力が落ちたことにより、効果撃沈・・・。巨大キャンパスには墨の海があちこちに広がっていた。しかし、だ。彼らの目はどこか、キラキラしている。このピンチをなんとも楽しんでいる様子なのだ。「ほほう・・・」「はは〜〜ん」このカタチは、龍に見えるとか風にみえるとか、獣に見えるとかあれこれ模索しながら、構図をひねり出している。プロデューサーの三村さんが、ニコニコ近寄ってきていった。「ミカちゃん、おもろいやろ。俺、せやからこの二人をみてるの、好きやねん」

好きなことをやってるやつにはかなわない。
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