俺の、青い、鳥。
629で私が本当にやりたかったことが叶ったような気がして、
いまとてもうれしい気持ちでいる。「みかさん!俺の写真よ~やく動き出しましたぁ!」
・・・写真家・渡邉一生氏から待ちに待ったメールがきた。
今回の出展作家のなかではいちばんの若手。かなりのプレッシャーを背負っての作品づくり。しかし、予定していた日程を過ぎても連絡があまりにも来なくて、うーむ、忙しさだけは言い訳にしてほしくないな、と思いながら待ってみようと思っていた。「どう? 悩んでない?」・・・短めのメールを送った。「・・・はっきりいって悩んでおります!!!」と返ってきた。悩んでいるのなら、OK!と思った。ただ、青い鳥は探し回ってもみつからなくて、もう充分に20数年生きてきた自分のなかにあるのだ。私がてんでダメなときにそれは先輩が教えてくれたものだったから、それを彼に伝えたくて、何度かやりとりをした。「くそおおおお、俺の青い鳥はどこで飲んでやがるんだ!!!!」・・・。「がはははは。いいねえ。色っぽいねえ、その言葉!!」 そんなこんなで数日が過ぎてった。先週末だったかな、メールを開くと「みかさん!!俺の写真、やっと動き出しましたあああああ!!!ああ~~~待たせてすんませんんん」・・・そして、今日、その写真が私の目の前にやってきた。「待たせてゴメン」。の、先にこんなにすてきな瞬間があるなら女はいくらでも待つなあ、と思うのだ。私が629で本当につくりたかったものは、目に見えないこんな時間だ。普段の仕事や遊びの中では絶対にできない、こんな時間の深まりと重なりだ。それはきっと私自身に、学さんや森さん、ギャラリー夢雲の山脇さんなどの大先輩がたっぷりとかけてくれたとても大切な時間の密度で、後輩に伝えてゆきたい私の思う「ステキさ」、なのだ。
信じていたものが手の中からボロボロとこぼれて落ちていった冬の先に、
「待たせてゴメン」・・・。初夏を迎えたこの頃になって、
まったく勇気がもてなかった私も私のなかの青い鳥に出会えたような、
そんな気がして。とても嬉しい気持ちでいる。