道頓堀ナンパ留学


super002ニホンゴから逃げるように最近エイゴにはまっていて、散歩中は柴犬まめ&みつに犬好きそうな外国人観光客をナンパさせ、月謝ゼロ円の「道頓堀留学」を楽しんでいる。「これは、柴犬という種類です」「典型的な日本犬です」「あなたも犬を飼っていますか?」――道頓堀川沿いを歩くパリの留学生、コリアンガールズ、シカゴの老夫婦、サウジアラビアの金持家族、家電めぐりのチャイニーズ。地元の人はあんまり行かない道頓堀だけど、実は、大阪でいちばん多国籍な街。覚えたてのエイゴと犬がいればノーボーダー。もともと人の懐に土足で踏み込める・・・いやいや、人なつっこさがとりえの大阪の女だ。親しくなるのに時間はかからない。

ほんで、なんで突然、エイゴなわけ?と呆れられる。今なら、中国語でしょ、とも。理由はない。ある時、大好きなはずのニホンゴを書くのが苦しくなって、それでも、うまく書こうと思えば書けちゃう自分がウソ臭くて、嫌になって、偶然にもめぐり合ったエイゴ教育番組を見ていくうちに、「新しいコトバ」に夢中になる自分がいた。ニホンゴを封印して、たどたどしくも外国人の友人に送ったエイゴメールを眺めると、「私は、海の近くで生まれました」「私は、二匹の犬と道頓堀を歩きます」「あなたは元気ですか?」「ありがとう。あなたに会えてハッピー」・・・シンプルなコトバがそこに在る。スペルが違ったり、過去形や複数形がごっちゃでも、エイゴの私は素直で、自由だ。主語を省略しがちなニホンゴと違って、「YOU」と「I」をたくさんたくさん使って書くエイゴの手紙には「YOU=優」と「I=愛」が詰まっているように思う。コトバには言霊があるのだから、日本人がこれを使えば、「I」は「愛」の言霊を持つし、「YOU」は「優」、ついでに「勇」の言霊を持って、私を新しい世界に誘う。大事なことをエイゴが思い出させてくれてるのかも。

そんな私の留学先!?道頓堀川は昔に比べてキレイになった。川沿いに遊歩道が出来るなんて、考えられなかったもの。今や世界中の人が散歩にくる街だ。ただし、勝手にきれいになったのではない。朝な、夕な、清掃スタッフや道頓堀商店街の呼びかけによるボランティアの方がホウキを手に集まって、道頓堀の川面から、メインストリート、遊歩道まできれいに掃除してくださっている。火曜の朝は私も参加する。飲み歩いている頃にはわからなかったミナミの姿だ。タコ焼きのフネがようさん浮かぶ道頓堀はあかんでしょ?近い将来、私も出逢った外国人観光客たちに「夜のネオンサインもええけど、道頓堀川は朝がいちばんキレイやねんで」と、流暢なエイゴでおすすめしてみたいものである。

 

 

photo/Tokuharu Yamada(500G)

 

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