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『維新派』

クライアントは「維新派」(=関西を拠点とし、世界各地でオリジナルスタイルの巨大野外劇場を建ちあげる演劇集団)。
東學は、1996年作品『ROMANCE』より、維新派の宣伝美術を任されている。
※演劇界では、ポスターやチラシを作るデザイナーのことを「宣伝美術家」と呼ぶ。

ポスター打ち合わせ

維新派の公演は年に1回ペース。ポスターやフライヤー制作は上演日の約半年前からスタートする。維新派事務所で、主宰の松本雄吉さんが次の舞台でどんなことを表現しようとしているのかをヒアリングし、宇宙観を共有。
東は「その場」でささっとラフを描き、「こんなんですかね?」「そうそう!」と驚くほどのスピードで案が決まる。
(うまいこと決まったら、猫と遊べる。ビールも飲める)

たとえば、奈良の平城宮跡で行われた公演『nostalgia』(2007年)の場合。ブラジルへの移民船をテーマに物語りが紡がれることから、ポスタービジュアルは「大きなフラッグを持ち、湿地に降り立った集団移民」に決定!

ロケハン~ロケ撮影

カメラ、照明、衣装、建て込み、制作など、さまざまなスタッフと共に現地にロケハンに行き、撮影の下準備。借景となる「山」や「海」の佇まい、体感温度、日照時間など、撮影に関わるさまざまな案件を確認。
ロケ当日。大勢のスタッフが早朝から現地に入り、準備。この日の最大のポイントは、地面を「湿地帯」に見せること。維新派の建て込みスタッフたちの力で、近くの川から水を引き、広大な敷地を水浸しにしていく。維新派の場合、「プールで撮影したい」となれば、自分たちでプールを掘る。「琵琶湖上に役者が立っている情景を撮りたい」となれば、湖の水面下にイントレを組み、役者を立たせる。写真合成やCGが当たり前のような世の中だけど、維新派は一発撮りに命を賭ける。
太陽や風がいちばん良い具合になるのを待って、撮影。ポラロイドをチェックしながら、ベストの状態を作り上げていく。

デザイン仕上げ

カメラマンから届いた写真をセレクトし、維新派の制作スタッフたちと打ち合わせ。写真が決定し、ポスターデザインを組みあげていく。ただ、表面のメインビジュアルはこうやって大勢の人の手で創りあげられていくが、裏面はそうはいかない。いかに美しく、読みやすく組めるかはグラフィックデザイナーの腕の見せ所でもある。今回は、裏面もカラーで印刷したため、メインにはブラジルに向かう大型客船を手書きして、役者たちの後姿に長い影をつけた。うっすらと見える文字は、セリフのなかに出てくる言葉たち。表と裏でひとつのストーリーを演出している。

出来上がり。

維新派公演(2007年)

『nostalgia~<彼>と旅をする20世紀三部作♯1』

ロケ=平城京跡地

Art Direction=Gaku Azuma

Photo=Koji Fukunaga

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