「まめとみつ」- コピーライター村上美香&「柴犬まめとみつ」のコトバ・グラフティ。

まめとみつ


PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。

ネガをポジに

コピーライターらしいコピーのシゴト。
自分にとってなにがあるやろと思って。れいこさんみたいな
代表作がいくつもあるわけでなし。それでも文章には
向き合ってきているんやけどなあ・・・と考える。
サンポしながら思ったのは、
きっと一番ながく「機能」しているコトバが
黒船(←カステラやさん)の

「つくりたてをつくりたくて」(黒船)

商品パッケージにシールで貼られているので、拡散数も
多いはず。企業側からのあたたかいメッセージがそこにあり、
長くあきのこないものになったのだろう。
当時、コピーを頼まれて、何本も考えるなかでこのこが
ここまで力をみせるとは・・・長期保存があたりまえだったカステラに、保存料などをやめて、
「長持ちしない」「賞味期限の短い」けど、最良の材料だけをつかった家でお母さんがつくったような美味しさをつくりたいという話から。マイナスにみえる要因を、とことんプラスに変える力。

ネガをポジに変える、コトバのちから・・・なのか??

という視点で考えると
数年前のデコポンのはなしもちかいかな・・・
黒点病ができて、不揃いで、大きさもバラバラ、青い子も黒い子もいて、一般的には売れる状況にはないものに手紙をつけた。

「水害にも、寒波にも耐え抜いた、今年のフクゾウヤの味です。
青いコも、黒ずんだコも、大きいコも、小さいコも、それぞれの個性を楽しんでもらえると嬉しいです。」(・・・本物の手紙が実家にあるはず)

「ぼちぼちこつこつプロジェクト」
これなんかまさにそうだね。「墓地」と「骨」からつくった、明るく楽しいキャンペーンフレーズだった。これは、ちからのあるコピーで、しかも、にまっとわらえるものになった。

そういう視点で考えると、久しぶりに再会した三原の家具屋「サクラサク」のキャッチコピーもそうかもしれない。本人とはなしていると、非常にしつこいタイプ、面倒なことに飛び込んでいく、「いちいち」口を出したり、なにかと「二度見」したり・・・という癖がわかった。それって、すごいええとこやーん!ってなって。

「いちいち 二度見の サクラサク」

兄弟3人でやってる特徴もあって。1,2,3 とコトバをそろえてみた。いちいちうるさい、いちいちめんどくさい、いちいち手がかかる・・・などの、後ろに来るコトバが、自分の大切にすべきことなんだとほんにんが気づいたという。数年ぶりにあったケンジは本当に成長しとった。

「マチオモイ」
これは、「まちおこし」に対するエクスキューズ的なニュアンスでつくった。「まちおこしは一朝一夕にできひんけど、おもうだけならだれだってできるよね」と。無責任かもしれんけど、おもうきもちはあるよー、という意思表明からうまれた。

「調律したてのピアノみたいな朝」
これは、まめの本のなかに収録しているコトバ。もともとは、「調律の狂ったピアノのような夜」と書いたものを、編集者に直された。負の言霊を出してはいけない、と強く言われて。夜と朝、調律の狂った⇒調律したて に変化することで、爽やかで凛とした朝の空気を届けることができた。まめの本からはいくつか、この例をあげることができる。

「なんもせんとこ じっと待っとこ」
これは今年の朱夏。待てない、焦り症のじぶんじしんに対して。

「雨を嫌いな人が多いのでしょうか? 
晴れを望む人の天気予報に思います」

これは、昔、おかあちゃんが段ボールメッセージに書いてきたコトバで、かなりどっきりびっくりしたもの。晴れを望む人の天気予報に思う・・・雨を望む人もいるという視点。朝起きて、大雨がふっていたとき。おかあちゃんは、「うわあ~、アジサイがわらっとるねえ、かたつむりがうーんと伸びをしようるよ~、みかんの樹も大喜びじゃ~」という。 ま、そのくせ、雨が続いたらこまるんじゃけどね~。

すきなとこ、いいとこを100こ書く、かなえとやってる単語帳もそのひとつかもしれない。自分の価値観と違うところを、わー、知らんかった、そこってすごいんかもしれん、と気付いて、褒めたおす。不得意なコトやダメなとこも。これは人だけじゃなく、田舎のいいところ、まちのいいところをみつける作業にもつながる。

実際にコトバとして仕上げていくときは、リズムや韻、短さ、ひらがなカタカナのバランス(目に入りやすさ)、軽やかさ、ユニークさがでると。コトバが愛されていく、というか、重すぎなく伝わる。

ネガポジワーク?
自分の好きなひと、大切なひと、そばにいるひとの、ネガなところを10個みつけて、そこからポジに転嫁する広告をつくろう。

でも、すき。  じゃなくて、だから、好き。

とつながるようなかんじ・・・うう?? できるのか?成立する?

即興ができんからなあ~。

2019年12月15日 06:17  |  
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