Introduction
藤原新也「メメントモリ」の一節にこうある。
道をたずねた。
老婆は答えた。
上さまに行けば山。
下さまに行けば海。
どちらにいけば極楽でしょう。
どちらさまも天国、
どちらさまも地獄。
世界はあんたの思った通りになる。
東が今春からの展覧会に選んだコンセプトは
「 天 獄 」
言わずもがな、天国と地獄をかけあわせた造語である。
本人は根っからの楽天主義でありながら、絵の女たちに抱かせたメッセージは深く、我々の生きる世に警笛を鳴らす。
場所は、昨年に続き、2回目となる春の芦屋。
芦屋川や夙川に桜が満開になるシーズン、
絵のなかの女たちは桜の妖気に誘われ、
どちらさまも天獄へとお招きする所存。