ありがとう。

54年目の9月23日。
おそろしい数になってしまいましたが、
昨年につづいていんのしまで両親とすごす誕生日を
迎えることができて
とりわけ今年の誕生日はなにをするでもなかったのに
いい誕生日だったなあと思うのです。
波の音がして、風が気持ちよく、日差しは朝はかーっと照って
陰るとやさしく、みかんから若い果実の香りがふわんとして
入道雲とウロコ雲をまぜたような空が
三原の山の向こうからこちらまでひろがってきて
夕暮れの磯はどこまでも引いて、茜色からうすピンクにかわる空と
凪の水面がしーんとしていて、
近所のおじちゃんが犬を連れてわん。うちの犬たちもわん。
友だちや佳苗からおめでとうのLINEもらって、動画とかももらって
私は海岸の船着きのところに腰をかけて
みつがキャンキャンと目を輝かせて、砂浜を歩いて
まめがぺちゃんとふせをして海を眺める。

父は「きょうは何の日じゃ?」
と、いってもすぐには頭が回らなくなった。
母と私で、「お父ちゃんとお母ちゃんと美香にとって、とっても大切な日よ。
思い出して~」とウソ泣きをして、ヒントをいっぱいいっても
目をうろうろさせるばかり。しばらくして、
「12日がわしの誕生じゃけ、23日はミカの誕生かのお」
・・・・拍手喝采!!あたり!!


上記を、昨日一日で何度も繰り返すのです。

それでも、島生活3日目。
3日連続、父とみかん山にあがって、摘果作業を続ける。
母に言わせると奇跡の奇跡だという。10日も起きてこなかったのよ。と。
娘のまえで多少カッコつけているんだろう父。でも、それでいいと思うのです。
明日世界がどうなろうとも、父は畑仕事をしていたいんだろうから
それで明日、たとえ父がどうなろうとも
後悔のない思い出を作る方が大事だ、と私は思うのです。
倒れてからじゃ、楽しい思い出はつくれない。(いや・・・このあたりを
あたらしい介護施設の在り方として変革してく心強い仲間たちがいることも知っているが)
それでも一生に一度、自分をこの世に生み出してくれた父と母に
変わりはいない。この一生のありようをまだまだ私は父と母から学びたい。

そんなことをすべておいておいても
ただ、島の風が心地よく、犬たちがご機嫌で、ご飯がおいしい。
今朝はじえて、大根とほうれんそうの種を植えた。

小さな種を土に蒔いて、1週間ぐらいで発芽する。そんなことさえ、
私はまだこの島のいのちのサイクルのなかで初心者だ。

心配ごとはつきないにしても
呼吸が、おへそのたんでんあたりまですーっとはいっていく感覚がある。
深い呼吸ができるようになってきて、
からだの細胞が海とチューニングしてくれていて、
ちょっとした安定感をとりもどしてきたようなきがする。
自粛期間でもあるので
島の友だちにはまったくあってない。今はそれでいい。

夜になって、月がでて。
もういちど深呼吸して、月をしゅーーーーーーーって吸いこんで、
ふ~~~~~っと吐き出すのを何度かやって
寝る前に、

いい誕生日だったな、と。


2021年9月24日 09:56  |  
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