まめおはよう。
きょうは、わくわくする日です。まだ、まめに紹介したことがないけど、
とってもやさしいおにいちゃんが遊びにくる日です。
朝に帰ってくるか、お昼ごろになるか、知らない間にかえってきてまたいなくなってるかは
わかりません。もう、きてかえったかもしれません。
でも、
きっと、まめにはわかると思うのです。とてもやさしい、草食動物のようなおにいちゃんの気配は。
そのおにいちゃんはね、パパといっしょに働いていたひとです。
こんぴゅーたをしていたけど、音楽が大好きで、かっこいい曲をたくさんつくっています。
ベースという楽器をひくのが上手です。
大きな黒いめがねをよろこんでかけていて、はじめてみたとき、ヘンなめがね、と
おもったけどだんだん、似合ってるなあとおもうようになりました。
そのおにいちゃんはママのおともだちのこいびとです。いつも手をつないでラブラブです。
そのおにいちゃんは最近、ママの夢に出てきました。
柴犬を飼い始めたんだってね。みせて。ぼくもね、犬を飼い始めたんだよ。
パグっていうのかな。そんな感じの犬を抱いて、階段のところに座っていました。
あの頃はいそがしくて、いつもいっしょにいたのに
わたしたちは多くの言葉をかわしませんでした。だけど、このごろ、
おにいちゃんはときどき、こうやって、ふら~っと遊びにきてくれるのです。パパの叩くドラムの横で、
静かにベースをつまびいていたりもするそうです。
ママが遊びに行った先の横浜のジャズバーとか、岩手の宮沢賢治記念館のある公園まで、
飛んできたこともありました。
なんでこんなとこに?ってとこで笑ってんの。ママは迷わず、
ヘンなめがね!!っていってやります。
ああ、いた、いた。お向かいのホテルのふくろうさんのところに、いました。
まめとみつをうれしそうにみていました。
お入りなさい、と声をかけたのですが、まめさんとみつさんの姿、
ここからがいちばんよくみえるので、いいです、いいです、と遠慮がちに、
微笑んで。恋人を待たしているから、と
雨の中をす~っと虹のスプーンみたいに飛んでいきました。
まめとみつ。ちゃんとご挨拶できましたか?
やさしいおにいちゃんでしょう。ヘンなめがねだったでしょう。
あれからまる2年。
まめのなかに、
みつのなかに、
わたしのなかにあなたはいつも
生きている。
思い出はポケットに。いつでも取り出せる、場所に。