しかの先生というのは、
赤ちゃんのわたしをとりあげた、産婆さん。
もちろんもうこの世にはいないけど、
誕生日がくるたびに、母は、しかの先生の話をする。
うちの兄弟は三人とも、この産婆さんにとりあげてもらった。
今のように立会い分娩というスタイルなどなく、
男の人は部屋にはいることも許されなかったらしく、
父はかまどでお湯を何度も沸かして
産湯の準備をしていたそう。湯沸かし器というのはもうあったらしいけど、
それでも、かまどの火でうぶ湯を沸かした。
しかの先生が、
生まれたばかりの私を、うぶ湯にいれて、
たまごしゃんぷー、というのをしたそうです。赤ちゃん用のせっけんなのかな。
くるくると泡をつくって、頭やからだをくるくる、
洗ったそうです。
そんな話を、つい昨日のことのように
きょうも電話口で話す母がいます。
いつもそばにいてくれるすべての友達と家族に、
お誕生日をありがとうございます。