たとえば、
昔の恋人に街でぐうぜんに会うことなどほとんどないけれど、
それは多分ひつようがないからで、
ぐうぜんってものは何かをしょって
ひつぜんてきにやってくる。
いつもと違う時間に、いつもとぜんぜん違う場所に用事があって、
たまたま遠回りしたその雑踏のなかに、
きょうは、俊介の姿があって、驚いた。さらに、
ちょうど2時間もこのあたりで時間をつぶさなければいけないというので、
これは奇跡だね、といって
お茶を飲む。毎日のようにいっしょに撮影に走り回っていた俊介と私とガクさんは、
いまはそれぞれ別々のパートナーと仕事をすることが多く、
互いに気になりながらも
なかなか逢えなかった。
元気な時に逢えてよかった。
そして、いきなり明日強引にもいっしょに撮影にいくことを決めて、
別れた。
魂と愛を込めると、
世界は変わる。