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”世界一の屏風”を『MEGU』ロンドンに創りたくて、そりゃ、學ちゃんしかいないでしょう、と・・・。インテリアデザイナー GLAMOROUS co.,ltd.代表 森田恭通
本展覧会の目玉のひとつは、東學の最新作”天妖廓・花魁シリーズ”の日本初披露です。これは森田恭通氏の手がける『MEGU』プロジェクトの一環で、ニューヨーク店、香港店に続き、2008年秋オープン予定のロンドン店の為のもの。世界トップクラスのクリエイティブを日々目の当たりにするデザイナー森田氏は、東學の描く世界を現在、どのように感じているのでしょう。(インタビュー/村上美香)
―― 墨画集『天妖』はご覧いただきましたか?
いやあ・・・よく創りましたよね、あんなすごい画集。PARCO出版でしたっけ?装丁もカッコいいし、素晴らしかったです。先日、時間ができたので、ゆっくり拝見したんですよ、1週間ぐらいかけて(笑)。改めていろんなことを画集から感じることができました。學ちゃんの絵も、昔からタッチは変わっていないようでやはり変わっていますよね。女性の好みが変わってきたのかどうかは知りませんけど。同じタッチに見えても彼の精神的なもの、心の安定や不安が映しこまれているんだろうと思います。 そうですね、“デリケート”・・・に、なりましたね。ネガティブな意味でのデリケートではなく、ポジティブなデリケート。もっと言えば、“エレガント”になったと思います。毒の盛り方も、以前はもっと毒々しかったけど、今は同じ毒でも「ポワゾン」的な妖しさと美しさに満ちている。
―― 森田さんは2003年の【project629#3】にお越しくださいました。そこから縁あって、ニューヨークのジャパニーズ・ダイニング『MEGU』に東學の“花魁シリーズ”を起用してくださいました。画集には、ちょうど森田さんに出会った頃からの作品が収められていますので、変化をリアルに感じていただけたかもしれません。
最初の頃は、僕も學ちゃんの描く女性を“日本の女性”というイメージで見ていたんですが、最近はそうでもないぞと思ってきました。着物を着てはいるけど日本人かどうか、もっと言えば現世の人かどうかもわからないところに来ている。とはいえ、神がかりすぎてはいない。ホンマ、よう考えてはりますわ、この人(笑)。でも・・・仕事も忙しいでしょうに、絵もず~っと描いてるって本当ですか?世の中、何を描いたらいいのかって迷っている人がいっぱいる中で、アイデアが溢れ出てきているのはアーティストとして最高のコンディションにある。僕がいつも感心するのは、彼の、アングル。どの角度からものを見たらいちばん美しく見えるかという目線がすごい。絵だけの目線ではなく、人間の目線で見ている。空間が持っているボリューム感も自然に計算している。だから、どこに置いてもサイズ的なボケがなく、存在できちゃう。これからも、彼の絵はいろんな国の人が、いろんな国で、いろんな見方をしてくれると思いますよ。學ちゃんは、本人がそう思ってないところがいいんだけど、芯に、ズバ抜けたカッコ良さがありますから。
―― 一連の『MEGU』プロジェクト。2008年はロンドン店がオープン予定ですが、この店舗ではメイン・バーに新作の“花魁シリーズ”が飾られます。このプランは、どのような意図からでしょう?
ロンドンの店舗は、メイン・バーを地下に作る予定です。天井があまり高くないのですが、面積的に横にぐっと長い。それで、「世の中にない“屏風”を創ろう」というアイデアが生まれました。鎌倉や室町などの古い時代ではなく、現世のもので華やかさと神秘さもある屏風・・・それで、当然、頭に浮かんでくるのはこの人だったわけです。要するに、「世の中にないものを創ろう」としたとき、「世の中にないものを創っている人」と手を組みたくなってくるんです。海外の店舗などで日本を表現するときに“メイド・イン・ジャパン”という感性は、それはそれでスタンダードでいいんですが、學ちゃんは、とっくに超えちゃってる。『MEGU』もその枠は超えているし、今回も“メイド・イン・ジャパン”という意味で彼の絵を起用したかったのではなく、“世界にオンリーワン”のアートピースとしてお願いした、という経緯です。
―― 森田さんが、次の東學に期待することは?
學ちゃん、感覚的に“抜けた”と思うんです。『MEGU』シリーズは、ニューヨークでも香港でもロンドンでもひとつの世界観ができあがりしたから。このラインはこのラインであるとして、僕としては、またぜんぜん違うことをお願いしてみようと思います。ガクちゃんの消化力はスゴイから。ぜんぜん違うボールを投げて、次は、ちょっと意地悪してみようかな、と・・・(笑)。今年の629、僕も時間をつくって覗きますね。
主催
株式会社 188 アサヒ精版印刷株式会社共催
HEP FIVE協賛
株式会社モリサワ特別協力
PARCO出版 株式会社ポスターハリス・カンパニーブログエントリー
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