つい昨日のさっきの時間までは、わたしはこの海にいて、父と話していた。 「海は、ええど」 「やっぱり島が、ええど」 船が桟橋を離れると、いつもなら手を振り続ける両親ではあるが、 夜の場合は一風変わったアレンジがなされる。家中の電気をいったん消して、 窓から懐中電灯をつけたりけしたり、するのだ。 船が遠くなって、点滅する光はどんどん小さくはなるが、かすかに見える。
「みか、がんばれ」 「みか、いってこい」 「みか、また、いつでも戻って来い」
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