バア。

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バアが介護施設に帰る日。
父ちゃんはだっこ紐をバアにまいて、バアを背負う。
ジイの力ではもう背負えないようで、
父ちゃんがバアを背負う。
姥捨て山みたいだなあ、と私は見ている。
バアは、おしっこのにおいがする。まめとみつのおしっこにはなれたけど、
バアのおしっこのにおいは慣れなくて、
私は息を止めてしまう。悪いな、と思うけど、
私は息を止めてしまう。
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ジイは、車にのせられたバアの髪をくしでといてやる。
「流行の髪型にしちゃろう」とバアの前髪を整える。
私も手伝う。バアの前髪をなでる。
私は歌う。瀬戸の花嫁を歌う。
バアが歌いだす。忘れていた二番の歌詞をすらすらと歌う。
私は歌う。海は広いなと歌う。
海は広いな、大きいな、海は広いな、大きいな。
海の見える部屋ならえかったね、バア。
介護のプロたちが微笑み、やさしく話し掛けてくれる
新しいホテルのような施設は、
姥捨て山のような島の最果てにある。
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生まれること、そして、死ぬること。その両方が
見えないところで行われる。
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私の鼻に、いつまでも
ツーんとした、バアのおしっこのにおいが残る。

2009年1月 3日 20:37  |  
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コメント (1)

ヨちゃん婆ちゃん、優しい親族に見送られて、自分の家から黄泉の国に旅発てて、幸せでしたね。今後の美香さんの活躍を空の上から、見守ってくれるていることとおもいます。
昨今、自分の家の畳の上から永久の旅に発つことはできなくなりました。葬儀社が取り仕切る告別式といのは味気ないですね。今の時期は、馬神の除虫菊が白く咲き誇っていることと思います。美香さんの実家からは、蒼い海の向こうに、よく観えるのではないかと思います。

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