「まめとみつ」- コピーライター村上美香&「柴犬まめとみつ」のコトバ・グラフティ。

まめとみつ


PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。

逢いたかった場所

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ベートーヴェン・フリーズという、第九をテーマに描いた
作品があると聞いていて、探しあるいてやろうというつもりで
歩いていたのだけど、これまたすぐに、あれ?松竹座からすぐに吉本あるねんね、
といった感覚の近さで、次なる目的地が現れる。
セセッシオンという、現代美術系のギャラリーの地下。
ここは国立オペラ座からすぐの距離。楽友協会からもまったく遠くない。
一階には、謎の現代美術作品。SUMISOにありそうな感じの、
二階とかは、うーん、ピンとこない写真家の作品。あるよな、このあたりの
謎のシリーズ、このギャラリーで展示できている背景を聞きたくなっちゃう。
ま、すごい人の作品なんかもしれんけど。それは心の目がみるもので、
自分がピンとこなければ、覚えておく、でよい。
良いものも、悪いものも、その場の空気と共に、ぜんぶ吸収してきなさい、と
學先生からたびたびLINEがはいってくる。その通りだと思う。
「写真を撮ったことで、終わりにしてはいけない。1日の終わりに、佳苗は絵で、美香ちゃんは
コトバで、その日のことを記録しておきなさい。その方がずっと後に残るから」
ブログ的な、絵、をいつのまにか撮りためるクセがついていて、
文章で残すってことを忘れがちだったかも。こうやって、たらたがかくのが本当は
大好きなのに。
20160217-sese2.jpg
「女神たちのコーラス」
当然、写真はNGなので、図録で買ったものをベッドのうえに広げる。
印刷がぜんぜんよくないけれど、それでも、この1枚が好き。
地下のギャラリー、それほど大きくはないけれど、
そうだな、學さんの大型作品よりもうちょい横長い作品群が、一連のストーリーをもって展示室の
上部にコの字型に展示されているというイメージ。
正面に、謎の大型モニターがあり、パーカーを頭までかぶった男が路上で
ピアノを弾いている映像が繰り返し流れていて、それが、いらんなあ、と思いつつ、
それがセセッシオンの現代美術ギャラリー感をかもしだしているといえば、それで、でも
純粋に眺めていたい今はいらんなあとおもいながら、天井を見上げる。
コンタクトレンズの度数を1つあげてきてよかった。
見上げる位置にあるので、その行為からして、クリムトの意図なんだろうから。
苦悩を越えて歓喜へ、という何度も言われてきたテーマを
クリムトが浮遊する天使たちの偶像で描いる、(と、ガイドブックにはかいてある)。
自分がここんとこずっと絵や言葉にしてきた第九の世界観よりも、
うーん、ぶっちゃけ、學さんの絵の方に近いじゃん、って感覚があったかな。
それはもちろんいい意味で、だ。解説のひとつひとつと、絵を照らし合わせながら、
ひとり旅であれば、そんな自分によっているんだろうけど、
そこは佳苗と二人、しょーもないことを言いあいながら、爆笑しながらも
二人ともそこから動かない、動きたくないような、しばらくの時間を愛しく抱っこしていた。
一連の、憎しみやら、救いやら、求めやら、絶望やらの感情が語られるなかで、
歌でいうところの第三楽章にもあたるかもしれない位置にある、ひとりの女性偶像。
「わたしは、この竪琴をかつぐ女やわ」
と、想う。おおげさでもなんでもなく、私は確実に、この位置のここを担う立場の
いのちやわ、と想う。
現実は、えぐいねん。でもな、理想を「詩」にして、うたっていかなあかんねん。すべての
いのちの代表としてそうでないとあかんねん、とゆうてました。
だって、人間はコトバでものを考えるし、コトバによって人の考えを聞きあうことができる。
で、次に、歌でそれを伝えることができる。遠くまで飛ばすことができる、
現実は、えぐいねん。みつおりゅうにいえば、人間だもの、ってことなのかな。でも、
理想を「詩」にせなあかんねん。
私は、その位置にいる、いのちです。でしょうね、たぶん。これからも。
ベートーヴェン・フリーズ。




2016年2月18日 14:39  |  
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