「まめとみつ」- コピーライター村上美香&「柴犬まめとみつ」のコトバ・グラフティ。

まめとみつ


PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。

海からきた。

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まめ。

今日は、私のことをはなしてみよう。
きみは私の勝手でここに連れてこられたわけだけど、いきなりご主人様って。
それはあんまりでしょうし。できれば。好きになってほしいし。
私は海からきました。この部屋からは海が見えないけれど、
私は海からきました。この部屋から海は見えない、見えないけれども、
私の胸のココんところにはいつも海があります。
海は、海でも、私の海はとても穏やかな、やさしい内海なのですよ。
瀬戸内海っていいます。本州と四国と九州のまんなかを満たしている。
海ってね、つながってるんだって。たくさんのものを隔てている印象があるけど。
たっぷりと満ちたり、ゆらゆら引いたりしながら、
人をつなげてくれるのです。はじめに話した、縁といっしょだね。
その海に浮かんだ小さい、小さい島でねえ、私は生まれて、それから
ゴエモンっていう毛の長い犬を飼っていたことがあります。
umimame-1.jpg
ゴエモンと私は海で会いました。春の海でした。足元にくんくんと寄ってきました。
雨に濡れたのか、潮に流されそうになったのか、夜、連れて帰って、
お父さんに牛乳を飲ませてもらいました。牛乳、たっぷりぺろぺろと呑むから、
よしよし。かわいくてね。それから、お父さん、この子、飼ってもいいですか?
もう15年以上も前になくなっちゃったけど。ゴエモンとわたしは仲良しでした。
ゴエモンにしか言ってない秘密もたくさんありました。
いなくなったときは、弟のゆうじくんと二人で海にいってわんわん泣きました。思えば、
しあわせな犬だったと思います。海沿いの道を、どこまでも毎日のように散歩。
雲の飛行線、追いかけて。夕暮れのオレンヂ色の海は格別きれいでした。
おかあさんの「ごはんよ~」って声がどこからか聴こえてくるまで、
私たちは砂浜でかけっこしたり、じっと波音をきいていたり。ゴエモンはフナムシと戦うのが得意でしたから。なかなか、田舎の雑種はたくましいものです。
ちなみに初日は私、海に小さなゴエモンを投げて、洗いましたからね。洗礼よ、ってなもんで。まあ、こんなかんじで田舎ですから人も犬もおおらかでたくましいものです。


だから、まめ。いつかきみに海を見せたい。
ごめんね。いまはこんなにも小さな部屋の窓から、ビルしか、見えない。
でも、たくさん、たくさん、きみに私の海の話しをしよう。


大丈夫。海に投げたりしないよ(笑)。

2008年3月 2日 21:47  |  
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