PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。
さて、散歩もたっぷりしたし、晩御飯のしたくする前にちょっとだけジュンク堂とタカシマヤと無印よってこかいな、とおもって外に出て、
せやせや、吉本のご当地なんといちびっといたろかいな、とおもって
立ち寄ったら「ああ、そうか、百年物語、こんな風にやってんねや」とおもって
あらためて番組表をみていると、7時からの席にあきがある。
いま6時37分。今からちょこっと見ても9時には晩御飯できる。
タカシマヤまわってもどうせ、一周してつかれて、たいしたものかわれへんで
文句ゆうてかえるのがみえとるし、
いま、きょう、みときたいな、とおもってまんちゃんに電話してみると
「うん、いっといで」
の、いつもの寛容なこたえにほっとして、
7500円の当日券を買ってみた。こういう見方は、長い間、演劇をみているけれども
はじめてで、本来、寄席小屋ってものは、こういう見方をしてほしくて
「毎日やってる」んじゃなかったかな。きっと、そうだ。
2時間みるには、小腹が減っているので、観光客をきどって、そこいらの店で
たこせん150円。やっすぅ。と、ちょびっと取材キブン。
入場したら、プログラムと写真の「大笑」とかかれたオミヤゲ袋をもらう。
ひとりなのでとても気が楽で、面白くなかったら、自分の選択が失敗しただけだ。
誰かつれていくと、ごっつ気になるし。
オープニングに河内屋菊水丸の河内音頭。
昨年の夏から、すっごい憧れておどってみたいリズムがからだに心地よい。
アウェイ感を感じていたこのリズムもいまは、ホームのキブン。
物語をリズムにのせて菊水丸さんが語り部になって、お話がはじまる。
なんでや、すでに涙がでとる。
泣くとこじゃないし、泣けるとこでもないんだけど、
「大阪おもろナーレ」のキャッチコピーにかけた、ミナミの企業の思いがここに
ひしひしと伝わってくる。コピーライターとしての目線もあるし、
ミナミの住人としての目線でもあるし、夫婦でひとつの会社を小さいながらも
持ちこたえてなんとかやっていこうとしている経営者の目線でもあるし、
演劇の仕事ばかりやってるうちの会社の縁でもあるし、
昔の大阪の姿になぜかひかれて、千日前に嫁にきたことになにか因縁を感じている
自分の目線でもあるし、ミナミのコラムのネタにしたいな
物書きの目線でもあるし、
みとかな、みといたらな、みさしてもうとかな、という
いろんな目線で1階席に座らせてもらった。
第一回目の4月は、吉本の創業者夫婦のものがたり。
陣内くんの妙に高い声も、船場のぼんぼんっぷりにあってたような気がする。
新喜劇とはぜんぜん違うホンキ度の高い芝居だけど、
万人が楽しめるような、やわらかい見せ方にしてあるし、テントさんとかが、
がりがりのからだで、うぃうぃっていってるのが愛しい。
どの時代も、すごい人のかげには、ええオンナがいてる。
賢いオンナがそろばんはじいて、頭ひねってる。ほんで、あっちいったりこっちいったりしてふにゃふにゃしてる男のケツをばーんとたたいて、
どーんとやったれ!としばく。
イチカバチカヤ、というセリフがあって。
あ、そうか。そこやったな。と思う。
晩御飯おそなってごめんなーといいながら、まんちゃんに芝居の感想をひととおり
なんでか泣けたわ~といいながら語った後で、ほんで、
「なあなあ、うちの会社の今日からのキャッチコピーを決めたで」
イチカバチカヤ。 どない?」
「ははは。おもろいね」