PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。
「片思い」という題の小説と、
しばらくは暮らせるんだろうなという量感のあるリュックを持った
青年。いつもの公園にいつもはいない空気の人。
「旅行、ですか?」
はじめに切り出したのは、珍しくみつの方だった。
「どこからやってきましたか?」
気になってしかたなかったまめも、ようやく質問を始めた。
「ええ、日本縦断を考えていて、
いまから北海道の宗谷岬まで歩いていくところなのです」
九州なまり。浅黒く、よく鍛えられた足や腕に
まめもみつもかわるがわるにお尻やしっぽをくっつける。
「歩いて?」
「ってか、走りますね。午前中は4時間ほど走ります。
午後からは気ままにあるいて。国道沿いをひたすら。コンビニの
駐車場とかにテントはって夜は寝ます。」
「一人旅、いいよね」
「はい。旅はぜったい一人がいいです。好きな時に小説読んだり、眠ったり、
また走ったり」
「あ、そうだ。その小説って・・・」
時間切れの片思い。