PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。
ぜんぶ捨てても残るもの、
それがわたしの宝もの。
という、コピーを、12年ぐらいまえに会社をつぶしてしまったときに
書いて、そして、そっから
10年だったときに、
ぜんぶ捨てても残るもの、
それがあなたの宝もの。
というコピーで締めくくった本を出版した。
で。その本を買ってくれた、写真の方(レモンスカッシュテニスサークルの先輩)が
「美香ちゃん、なんで、“わたし”が“あなた”にかわってんねや?
オレはあのコトバをいまも書斎に貼ってあるねん。
なんでかえたんや?」
といった。
“わたし”から“あなた”に変わった理由。それは自分の中ではいろいろあるのだけど、結構、自然にそうなっていたというもともあり、
自分でも気付かないぐらいの変化だったから、
そんなところに気付いてくれたことをとても嬉しく思ったし、
ずっと、その人のなかで生きている言葉だったんだ、ということを知り、
コトバに対する責任感をあらためておもう。
「わたしたち夫婦、子どもの問題などでいろいろあって、
本当にダメになるぐらい二人ともやせてしまった時期があったのね。
誰にも連絡をとれなかったし。
でも、そのときに、支えになったコトバでね、
主人は、本当にずっと机のところに貼っているのよ。
何をなくしても、私はこの人と、いっしょにいたいと今も思う」
奥様がそんなふうに
話してくれた。