PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。
山下洋輔さんには特別な想いがある。
それは、2000年のこと。私がはじめて1万人の第九のパンフレットを
編集したときに、まだ音楽のこともちんぷんかんぷんな状態のまま
MBSのロビーでインタビューさせてもらいました。
「ラプソディ イン ブルーって、どんな曲ですか?」・・・そんな質問、
今なら恥ずかしくてできない。それでも、やさしくお答えいただいたような記憶がある。
肘でガンガンピアノをならす洋輔さんと共に、パンフレットの制作に打ち込んだ自分と
万里子や智恵子、まゆみ、まんちゃん、てくさんもいたかな、
なにもかもはじめての2000年のはじめての合唱の記憶がくっついてる。
ウィーン初日の夜、佐渡さんに「つきました」とラインをおくったら
送り返されてきたのが山下さんとの2ショット。
「18日のゲストやで。知らんかったん?」・・・・え!!!知らんかった。
そんなサプライズからの楽友協会リハーサル。
「佐渡さん、リハーサルから聞きに行っていいですか?」「いいよ」
と、入れてもらうことができました。
楽友協会の建物の美しさはあとで書くとして。
楽友協会であってもめったにきくことができないプログラムを
体感。今回の定期演奏会のシリーズそのものが「クロスオーバー」だそうで、
異ジャンルの音楽とオーケストラがコラボしていくのだそう。
1曲目からして、ハードロックの曲。楽友協会が、まるでスピーカーを入れたかのように
音がゆれて、手のひらや、腕っぷしあたりにびりびりと振動が伝わってきます。
『難しい曲やるからね、ごめんね。ちょっと勉強する時間がいるんだ」と
楽屋で楽譜に向き合う佐渡さん。トンキューンオケの管楽器やパーカッションの人たちが
はじけとります。
そして、2曲目が山下さんのオリジナルのジャズアレンジ。
3曲目がお待ちかねのラプソディインブルー。
何を感じていたかといえば、やっぱり、表現力も技術も熟した大人たちが、
一夜の出会いを心からよろこびあいながら、
まだまだ知らない自分に出逢っていく、知らない音の森みたいなのに
冒険者のように入っていくそのワクワクとした感じが
まず山下さんご自身にあり、佐渡さんがそれを受けて、オーケストラのみんなが答え、
「うへ~、そうくる?」「ほんなら、これは?」「うーわ、サイコーやん」「よっしゃ、こっちでどない?」
みたいな往来が見ててわかる。
例えば、本当に美味しいものを食べたとき、笑みがこぼれてしまうときって
あるやん?そういうような、表情をみんなが音楽のなかで溢れてるかんじで、
私も、「うっま~~~~これ」ってカツレツ食べたときみたいに、
ずっと顔の筋肉がゆるみっぱなし。目はかまぼこ状態。
えっと、これまだリハーサルですけど。という状態ですが、もう、これ以上すてきな
ウィーンはない、と断言できる、ラプソディでした。
「山下さん、楽友協会ははじめてなんですか?」
「そうだよー 佐渡さんにこんな機会をもらって、もう、親戚が10人ぐらいひっついて
きっちゃってるよ」
山下さん、73歳らしいです。さっきのみなわさんも。お母ちゃんも同い年かな。
カッコよすぎです。