「まめとみつ」- コピーライター村上美香&「柴犬まめとみつ」のコトバ・グラフティ。

まめとみつ


PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。

ことば塾5@児島令子さん

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いよいよマチオモイ展もフィナーレ。
「おもいを届ける、ことば塾」でどうしてもお招きしたかった
コピーライターの大先輩・児島令子さん。
今朝から、ドキドキというか、もう、なんか恋をしているかのような
高揚感が自分のなかにあって、
予習のために送られてきた作品資料を読んでいるだけで
嬉しくて涙が出そうになっていた。
しあわせすぎる。あ、またしあわせっていってる。
あの児島令子さんに来ていただけるなんて。

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「ひとりに届けるボディコピー」。
令子さんに聞きたいこと、話してほしいことは何だろうとずっと
考えてきて、マチオモイの「おもいを届ける」というコンセプトと相まって
そうだ、ボディコピーにしよう!と思ってリクエストを送った日から、
なんていうか、自分のなかでよっしゃ、っと思える
なにかの確信があった。令子さんのコピー塾をこれまで聞いたことがある方でも
ボディコピーに的をしぼったトークはないはずだ、
ボディコピーにこそ、コピーライターの魂が隅々に宿っていることを
知ってほしいし思い出してほしい。
「れいこさん、ボディコピーに特化したトークにしたいです」
と伝えるときに不思議と怖さはなく、
令子さんも「それいいね。ボディコピーだけのはなしってあまりないから」
と快諾いただいた。
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そして、前もって送られてきた当日の資料を朝から見返して、
胸の高まりがピークになっていくのです。
ああ、こんなにもコピーのちからって美しく力強く、胸に刺さるのかって。
きょうはもうこれに集中しようとおもって、わたしなりに勉強を重ねた。
昔のコピー年間も引っ張り出した。
1990年。どうやらこの年に私は小さなコピーライターの事務所に転職し、
そこから名刺にコピーライターという肩書をもったようだ。
数えたくないが、いまは2017年だ。
1990年は、コピー年間によるとサントリーの「なにも足さない、なにも引かない」。
鉄骨飲料の鉄骨娘、サリダの「職業選択の自由 アハハン」
名だたる名コピーにあふれた年であった。令子さんの作品は、
パンツ見えたらアウト~ってきなシルバーOXのコピーシリーズだった。
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尼崎の結婚式場のコピーは、1995年だという。
震災の年の広告なんだって。(こういう時、ひとつの予習も無駄にはならない)
ボディコピーを令子さんが読み進めてくださり、
私はときに目を閉じて、ゆっくりコトバのリズムや言いわし、
ツンデレみたいにぐっと引き寄せたかと思えば、突き放す、功名な手口、
「じぶんの日記」が「みんなの日記」になるときに
痛さが、共感にかわるのだという。


日本ペットフードの「死ぬのが怖いから飼わないなんて言わないでほしい」の
ボディに関してもそうだ。
「令子さんのこのキャッチ、非定型が4回出てくるんですよね。
死ぬ、怖い、飼わない、言わない・・・ これだけ繰り返すと強い肯定になるんでしょうね」
ことばにおいて非定型を使わないことを守ってきた私に
がーんと響いた非定型の嵐。そっからボディコピーの「すごく生きている」という救い。


今日はとても楽しめた。
れいこさんのことばをなにひとつ聞き逃してはいけない気がして、
いつもなら、「次の質問どうしよう」とドキドキしている幼稚な進行になりがちなところを
うまいことキャッチボールができた気がする、気になることが、聞けた。
あまりドキドキせずにお客さんの様子をみながら、ゆったりと話せた気がする。
それはお互いの努力だったと思う。私も努力したし、令子さんも
100%その想いにこたえようと仕事をしてくださった。
こちらのリクエストをそれ以上に汲み取ってくださって、マチオモイ、というテーマにあわせて
作品を選んでくださった。「この街で、いい恋を、してください」という冒頭から、ずっと。

最後の最後に、わたしから質問した。「マチオモイ帖展覧会を、どう見てくださってましたか?」
と。これまでに語ってくださっていたボディコピーの話から、
マチオモイ帖も、「自分の日記」だけではいたいけど「みんなの日記」になっているから
きっと面白いのよね、自分の日記だけの作品もあるかもしれないけど、
それがとても大事なんだとおもうよ、と。
「しげい帖」をつくったとき「村上美香日記」ではだめだと思っていて、
それを「しげい」という半径3キロぐらいの小さなパブリックの前にさらすことをした。
そのときに、「自分の日記」は、すこしだけ「みんなの日記」になって
でも、その半径の3キロ感が、ぞくぞくした個人のヒミツもあばくようなスリリングさも残していて、
結果、れいこさんのコピーをのぞきみるような、正直な個人のことばとして
多くの人に届いたのだ。「おもいをとどける」。そのやり方において、令子さんとやり方は違えど、
近しい方法をたどってきたのではないかと思えた瞬間。
このタイミングならではの、トークサロン。自己採点100点以上。
れいこさんありがとう。本当にありがとうございました。

2017年1月27日 01:01  |  
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