PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。
朝、おかあちゃんと車でもどってきたら
となりからハルちゃんが走ってくる。
泣きながら走ってくる。
「しょうこおばちゃん
ももちゃんが亡くなった」
いそいで隣に走って行って、毛布に包まれた
ももにあう。すぐ噛むから、
ほんとさわらせてくれなかったももの頬を撫でる。
なんどもなでる。
死んだ犬は、冷たい。
死んだ人も、冷たい。
温かい手で温めてあげる。なんどもさする。
瞼をさわったら、かわいい瞳がきらっとひかって
「あれ、まだ生きてるんじゃない」
となる。もも、目をあけて。いや、もういいよ、
瞼とじていいよ。
みきねえちゃんが泣く。
はるちゃんが泣く。
おかあちゃんが泣く。
美香も泣く。
ももちゃんをなでる。ぜんぜんなでさせてくれなかった
ももちゃんとやっとなでる。なんども。
まめとも、みつとも
違う時間が、
ももとわたしのあいだにはあった。
うちのこにくらべると
甘えるのが下手だった。
「ただいま」も
「いってくるね」も
かならず、時間をとって「もも」の顔見た。
しげいのコ。もも。