PROFILE/MIKA MURAKAMI@188《コピーライター》
瀬戸の海を産湯に、波を子守唄に育ち、大阪はミナミの繁華街・坂町に生息する女コピーライター。藤原新也の「人間は犬に喰われるほど自由だ」を敬愛し、「はて。ほんとうに人間は犬に喰われるほど自由か?」と日々思い巡らしながら、2008年2月よりひょんなことから柴犬まめと暮らす。はて。きみにほんとうに伝えたいコトバはなんだろう。そんな、きみとわたしのこれからブログ。
6月2日の明け方か、寝付く前ぐらいだったか。
おふとんのところにトコトコトコ、
畳をあるく犬の音。この音が聞こえるといつもわたしは
「まめかな? みつかな? あがっておいで」と声をかける、
みつはベッドに自分からあがってこないので
ドレッサーの椅子のしたに入り込むのだけど
この日は違った。
「まめかな? みつかな?」
ふたりがそろって私の方に近づいてくる。
まめが私のところにかえってきた。やっとやっとやっとやっとやっと
姿を見せてくれた。あれから、こんなに待っていたのにぜんぜん
出てきてくれなかったのにやっとやっとやっとやっと
姿を見せてくれて、わたしはうれしくて、うれしくて
両手でまめのあたまとからだをさわりまくって、
「やっときれくれたん。ありがと。よくきれくれた。よくきてくれたな」
と声をかけた。夢ではなく、私の記憶ははっきりしていた。
ちゃんと伝えた。
「きょうのまめが、きょうもだいすき」
ほどなくして、その触感はすーっとなにもなかったように
闇に溶けていくのだけど
それまでのわたしとまめの再会は、温度があり、触感があり、
ふたりのいつもの大好きの交換があり
やっときれくれた、49日まえの、まめの
「ママ、いってきます」
だ。